心筋梗塞にならないために
心筋梗塞にならないために

心筋梗塞にならないために

ある日突然患者さんが亡くなったという連絡がご家族からありました。 今まで平穏に生活し、仕事も順調にいっていたところ、朝5時頃、急に胸が苦しいと訴え、その後救急車で病院に運ばれましたが、1時間後に亡くなったといいます。65歳でした。 2週間前から、毎朝5~6時頃に、胸の圧迫感があったといいますが、10分位で自然に治っていたこともあり、仕事が忙しく、すぐ治まるので医者にはかからなかったといいます。病名は『急性心筋梗塞』でした。 急死する病気の中で、最も多いものです。 この例のように、突然心臓が止まって、死に至る『心筋梗塞』について、注意を喚起したいと思います。

日本人がどのような病気で死亡するのか?

100人の内30人は「ガン」。「脳血管疾患※1」(脳出血・脳梗塞など)が15人。そして「心筋梗塞※2」(虚血性心疾患)15人となっています。
これらはある程度予防できるものです。特に※1、2は血管の障害によるもので、動脈硬化と密接な関係があるからです。

心臓とは

心臓はポンプの役割があり、全身くまなく血液(動脈―酸素や栄養素が含まれている)を送っています。 同時に心臓自体(心筋)にも酸素・栄養を送っています。心臓は1日10万回収縮・拡張を繰り返し、水道管やガス管のような血管で血液が送られています。この血管(水道管・ガス管)がきれいで十分送られている状態が正常な状態です。 水道管・ガス管が古くなってしまって詰まってしまったり、脆くなるとどうなるでしょうか?血液も血管をうまく流れなくなります。

心筋梗塞とは

脳の血管が詰まるのが脳梗塞です。
心臓自体に栄養を送る「冠動脈」という血管があります。これに血液の固まりが詰まったり、血管が急に「ケイレン」して流れなくなるのが「心筋梗塞」です。
酸素や栄養が行かなくなると、その先の心筋は腐ってしまいます(壊死)。腐り方によりますが、「太い冠動脈」がつまると心臓の大きな部分が働くことが出来なくなります。すなわち「死」です。腐る部分が少なければ命が助かることもありますが、どの部分が詰まるかにより寿命が決まります。

自覚症状は?

とくに前駆症状(前触れの症状)について、筋梗塞になった時の約半数は前触れの症状が無く、死亡の時などは詳しくは捉えにくいのですが、しかし生存者では階段や坂道で胸が苦しくなったり、圧迫感があったといいます。 休んだりすると良くなってしまうので、放置してしまいがちですが。冒頭の患者さんの様に前から、とくに最近になって感じた時が大事で、この段階で医師の診察を受けていれば助かった可能性があり残念です。 多くの心筋梗塞の患者自身がまさか心臓をやられているとは思っていないのです。昔は60歳以上の発病が多かったですが、最近は40~50歳台の働き盛りの人が増えてきています。 私の経験した最も若い人は29歳でした。一方最近は長寿社会となり、70歳以上の方も増えています。

心筋梗塞にならないために

健康診断を年一回以上必ず受診し、血圧、血液検査、心電図、胸部XPに異常の有無をみましょう。とくに

  1. 血圧値
  2. 採血を受け、糖尿病や痛風、脂質異常の有無(悪玉や善玉コレステロール)、中性脂肪などのチェックをします。
  3. 心電図は必ず受けましょう。

とくに何らかの心臓の症状がある時は運動負荷心電図検査を必ずやることです。

最後に

予防をまとめると

  1. 高血圧は放置せず
  2. 糖尿病は必ず治療
  3. 煙草は絶対喫わない意志を持ち
  4. 悪玉コレステロールは減らし善玉を増やす
  5. 運動(歩くこと)1日1万歩を目標とし(週3~4回以上)
  6. ストレスをためない(現代はストレスが万病の元といわれる)。

とにかく前胸部(心臓)、いつもと違う症状を感じたらすぐに医療機関に行きましょう。